立軌会 RYUKIKAI since 1949

同人紹介 > 大庭 英治
  • 1950 宮城県白石市生まれ
  • 1974 東京藝術大学美術学部卒業
  • 1976 東京藝術大学大学院美術研究科修了
  • 1977 フランス政府給費留学(国立マルセイユ高等美術学校に学ぶ)’81年帰国
  • 1979 個展 ヌーヴェルギャルリー(仏)
  • 1983 個展 みゆき画廊(’85 ’87 ’90 ’93年も開催)
  • 1988 個展 ムゼウムドルフ(独)
  • 1994 個展 Bunkamuraギャラリー(5周年記念企画)
  • 1996 個展 日本橋髙島屋コンテンポラリーアートスペース
  • 1999 個展 日本橋髙島屋美術画廊(’01 ’05 ’08 ’11 ’15 ’18 ’21年も開催)
  • 2001 色と形と ギャラリーエモリ
  • 2004 ANEMOS展 ギャラリー和田・小林画廊(’08年まで)
  • 2005 三人展 ギャラリーTogeisha(’06 ’07 ’08年も出品)
  • 2009 あべせ(ABC)の会 日仏会館(以降毎年出品)
    稜の会 日本橋髙島屋美術画廊(〜 ’14 ’16以降毎年出品)
  • 2010 輪の会 高輪画廊(〜 ’18年出品)
  • 2011 KAOS展 日本橋髙島屋美術画廊
  • 2012 NHKハート展 日本橋三越新館7Fギャラリー
  • 2014 個展 高輪画廊
  • 2015 個展 ギャルリ・ サロン ド エス(’17 ’19年も開催)
  • 2016 ラ・コリーヌ展 埼玉画廊(〜 ’19年まで出品)
    個展 ギャラリー絵夢(開廊30周年記念企画)
  • 2017 個展 ぎゃらりいサムホール
  • 2018 宮城県芸術選奨受賞
  • 2019 個展 埼玉画廊
    紺綬褒章受章
  • 2020 三彩展 ギャルリ・ サロン ド エス
  • 2022 十人の画家 新宿伊勢丹アートギャラリー
  • 2023 個展 横浜髙島屋美術画廊
  • 現在 立軌会同人 日本大学芸術学部非常勤講師

 毎日朝3時に、アトリエに向かいます。ドアを開け明かりを点けて、ラジオのスイッチをいれてスタンバイです。「ラジオ深夜便」の音が聞こえる中、チューブをパレットの上に絞りだしていると、昭和の懐かしい歌謡曲が流れてきます。やがて「明日への時代」というコーナーでいろいろ方々のお話になります。そんなある日、絵の具を塗っている僕の耳にあるご婦人のお話が入ってきました。アメリカの大リーグで「二刀流」で活躍する選手と、十代で将棋の「五冠」を制している若い棋士についての話しでした。このふたりは誰かと競争しているのではなく、自分自身を高め続けているのが素晴らしいとのことでした。どうやったら良い投球ができ、どうやったら良いバッティングができるのか、どのように駒を動かせば相手の王を詰められるのか、その姿、様子が素晴らしいと言っていました。棋士が子供の頃、対局に敗れ肩をつぼめて泣いているのがとてもかわいらしく感じられたそうです。僕もテレビでその映像を見ていたので覚えています。黒い着物に白いタスキ掛けをした小さな子が肩を震わせながら、相手に負けた悔しさではなく、相手に勝てなかった自分の不甲斐なさを感じて悔し涙を流していたのです。相手を負かすのではなく、常に相手の指した一手にどう対応するかの問題なのでしょう。一方、野球の彼は相手の投げたボールをどう打ち返すか、投手としてバッターにどのような球で挑むのか、常に思案しながらのプレイになるのです。つまり自分のベストを尽くすことが一番大切なことなります。勿論、その結果相手を負かすことになりますが…勝負の相手のいるの世界ですが、自分の目指す世界を高めることが大切な点では同じだと言っていました。この話を聞き、久しぶりに絵を描く自分を見つめなおすことができたようです。画学生のころ、教えを受けた先生が絵を描いている時のことを「いつもキャンバスと対話をしながら描いている」と言っておられました。その対話の結果、絵の具を塗り重ねたり、拭き取ったりしてるのだということです。やがてあの躍動的な作品にたどり着き、他人と比べたりしながら制作するのではなく自分の世界観を築いていくことが制作のすべてのようです。あの朝のラジオの話で「絵を描く原点」に戻れたように思います。

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